特集 第1回神経病理懇話会
錐体外路系の生化学
佐野 勇
1
Isamu Sono
1
1大阪大学神経科
1Neuropsychiatric Clinic, School of Medicine, Osaka Univ.
pp.42-48
発行日 1960年10月30日
Published Date 1960/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431901808
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神経病理懇話会が第1回の例会をお持ちになるに際しまして,私に錐体外路疾患の生化学についての講演の依頼をいただきましたことは大変光栄に思います。しかし私は本日,御依頼の錐体外路疾患の生化学についてはあまり触れず,むしろ錐体外路系そのものを生化学的に論ずることに重点を置きたいと存じます。白木教授のお考えでは,私に肝脳疾患の生化学を中心に話をさせようということだつたらしいのですが,過去10年ほどの間に大体この疾患についてのくぎりがついたように思われ,もちろん今後に残された問題も多いのでありますが,昨年私どもが総括しましたデータや冲中内科その他で度々発表されました報告以外にこれといつてつけ加えることもありませんし,発会の懇話会でおさらい的な演説をするのも気がひけますので,最後に最小限の問題点を挙げるに止めたいと思います。
先般の神経化学懇話会でもテーマとして取上げられましたように,脳の部位別の化学的構成分や代謝の特徴というような問題に関心が寄せられるようになりました。このような「脳の局所生化学」を研究する人の数もだんだん増えております。下は細菌から,筋肉,肝臓,脳にいたるまでほとんど共通の代謝を取上げている研究では勿論部位別に代謝の多少の量的差異はみられますが,それだけのものではあまり強い関心をもち得ないのであります。
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