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特集 第6回脳のシンポジウム
主題—日本における神経化学
脳灌流法による脳の解糖呼吸系代謝
Glycolytic-Respiratory Metabolism in Perfused Cat Brain
大月 三郎
1
,
渡辺 昌祐
1
Saburo Otsuki
1
,
Shosuke Watanabe
1
1岡山大学医学部神経精神医学教室
1Department of Neuro-Psychiatry, Okayama Univ. Med. School
pp.319-322
発行日 1971年7月15日
Published Date 1971/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903239
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脳における代謝の臓器固有性,代謝と機能との相関などの研究には,脳の臓器としての統合性を保ちながら,脳が身体の他の臓器からの代謝的影響を受けないことが望ましい。すなわち,脳組織における代謝産物は,すべて,脳組織内での代謝過程によつて生じたものであつて,他の臓器で生成された物質が,血流によつて脳に運ばれる可能性を除外できる実験条件が必要である。この条件は,通常のin vivo実験では満足されない。脳灌流法では,脳循環を体循環から分離しているので,この点に特長をもつている1〜3)。
脳灌流法の特長と限界については,すでに発表した4)。この実験法の基本は,成熟ネコを用いて,脳に入る動脈系は総頸動脈のみとして,他の動脈はすべて結紮する。脳の静脈系では,脳を出る静脈をすべてとめ,横静脈洞に挿入したドレナージから,静脈血を回収する。このように脳体血管分離手術を施した脳に,既知組成の人工血液(表1)をポンプで灌流する。人工血液の組成のうち,脳で代謝される基質となるものは,グルコースとアミノ酸に限られている。
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