Japanese
English
特集 代謝と機能
赤血球の解糖
Glycolysis of crythrocytes
水上 茂樹
1
Shigeki Minakami
1
1九州大学医学部生化学教室
1Department of Biochemisty, Faculty of Medicine, Kyushu University
pp.282-288
発行日 1970年8月15日
Published Date 1970/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425902858
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東大栄養学教室において吉川教授指導のもとにおける赤血球の研究は,たぶん昭和29年の秋から始まり1),ほぼ15年になり,教室にいた人々は程度の差はあれ,赤血球と縁があるといつても過言ではなさそうである。しかも教室を離れても多くの人はなんらかの形でその研究を発展させていることは,米山氏のヘム合成の研究や中尾氏の保存血から膜ATPアーゼへの発展はその例であろうし,橘氏のピリミジン合成系の研究も造血臓器である脾臓から出発したことからもうかがえる。
私が研究を始めたのが丁度,昭和29年であるにもかかわらず,吉川教授の戦前の主要な研究であるチトクロームの問題にひかれていたので,呼吸をしない赤血球には"不満"を感じて,どちらかというとそつぽを向いていた。しかし,研究開始のころの周囲の熱気に影響を受けたのか,長いlagの後に赤血球の解糖の問題に取り組むようになり,遠く九州に離れて今でもこの問題を続けることになつてしまつた。もちろん15年のあいだに研究方法は変つてきてはいるが,解糖の中間産物の変化を追うという意味では,初期の目的および方法論をそのまま追求していることになる。
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