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人間は環境から様々な刺激入力を受け,それを処理することによって,環境を把握し,適切な行動選択を行っている。生体が直面した危機的状況を把握する上で,きわめて重要な役割を果たす痛覚系は,入力される情報の時空間的特性についての分析的処理のみならず,情動,中でも不快感という負の情動を直接引き起こし警告系として作用する点で,他の感覚系と一線を画する。こうした背景をふまえ,痛覚系に関与する脳部位についての研究は,分析的情報処理と情動的情報処理の両側面から盛んなアプローチが行われている。とくに90年代に入り,ポジトロン断層法(PET)をはじめとする非侵襲的脳機能計測技術が応用されることにより,人間の痛覚系の研究はめざましい進展をとげ,頭頂弁蓋,島,前帯状回,視床など,大脳皮質を含む広範な脳部位が痛みの認知に関わることが明らかになった。現在は,これらの脳部位が,分析的および情動的処理過程において,どのような役割を担っているかという疑問に答えるため,時間分解能を改善した事象関連磁気共鳴機能画像法(event-related fMRI)や脳磁図(MEG)なども用いた研究が行われている。本稿では,人間の痛覚系に関する脳機能イメージングを用いた研究を概観する。
Animals including the human being select appropriate behaviors for their environment by receiving and processing various kinds of sensory input from the environment. Among them, the pain system plays an important role in apprehending danger in an immediate environment of animals. It does not only analytically processes spatiotemporal characteristics of sensory information, but also subserves as an alarm system by strongly introducing a negative emotional response. Thus the pain system has been extensively studied from two aspects : sensory-cognitive and emotional.
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