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はじめに
國頭 さて、私が日赤看護大学で1年生を対象にやっているコミュニケーション論のゼミ〔『死にゆく患者と、どう話すか』に講義録としてまとめ、2016年10月に出版〕のスピンオフ企画シリーズの第3回です。
今回のテーマは、患者さんの問題ではなくて、医療者側の問題を取り上げます。「燃え尽き症候群(バーンアウト)」は、厳しい労働環境にある全ての医療者の問題で、ある集計ではオンコロジスト(内科領域、放射線領域、外科領域)の28〜38%が経験している、という驚くべき数字が挙げられています1。私の手元にある資料はどうしても医者側のものが多いのですが、当然同じ問題はナースにもあるはずで、どころか日本ではより深刻でしょう。本誌でも、2018年の第1号で「マインドフルネス」が特集されています(Cancer Board Square vol.4 no.1 特集「マインドフルネスを医療現場に活かす」)が、そのなかにも“看護師の燃え尽き症候群予防のためのマインドフルネス”という一項が設けられているくらいです。
レイとチカには、Kelly Cottonという人が2018年2月にASCO Connectionに書いた、“Resilience While Caring for Seriously Ill Patients: Skills and Strategies to Prevent Burnout”という論文2を渡して読んでもらっておきました。これは、タイトルを見てもわかるように、いかにしてバーンアウトにならないようにするか、というものです。ちなみにこの論文では、若い医者は研修期間中に過半数がバーンアウトを経験する、と書いてあります。
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