特集 看護師として働くことをあきらめないために
看護師はなぜ燃え尽きるのか―北米の看護師燃え尽き防止プログラムから学ぶメンタルヘルス対策
山口 律子
1
1MDA(うつ・気分障害協会)
pp.228-232
発行日 2005年3月1日
Published Date 2005/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100106
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はじめに
看護師は,夜勤や早朝出勤などの不規則勤務に加え,3K・7Kなどと言われる過酷な労働下で働いている.献身的に患者さんのために働く「白衣の天使」に憧れて看護師を目指したものの,現実の看護業務は,テレビドラマと違い,かなり厳しい世界――生命を預かる現場で働く看護師の業務は,常に緊張を強いられ,責任が重く,多方面への気配りを要求されるという現実に戸惑った方も少なくないだろう.
死にゆく患者を看取ることや,患者との死別体験は,自分の無力さを感じさせ,「もっとよいケアができたのではないのか?」と自責感に苛まれることもある.そのような想いをよそに,患者や家族は,時に攻撃的であり,また拒絶的なことも少なくない.そのような人たちと接する仕事は,かなり精神的なストレスがたまる.勤務条件・職務内容・職場環境・収入など,決して満足のいくものではないだろうし,看護師は厳しいストレス状況にある職種の1つだろう.
筆者は,うつ病の当事者と家族の支援団体を主宰しているが,実際に現場の声を聞いてみると,寝不足・過労・人間関係のストレスで,「うつ病予備軍」という看護職も少なくない.また,ストレス関連の学会に出席した際,ある教授から,「大学などの教育現場や医療機関は,不思議なところだ.学生や患者には相談室が用意されているけれども,職員のメンタルヘルスには無関心なんだよね」と愚痴をこぼされたことがある.
さて,みなさんの職場には,相談できるシステムがあるだろうか?
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