Feature Topic がん免疫療法時代の航海図
がん免疫療法の現在地
—論考—日本において保険承認されたがん免疫療法のリアル—腎細胞がん
三浦 裕司
1
1The University of Texas, MD Anderson Cancer Center
pp.518-522
発行日 2016年10月15日
Published Date 2016/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1430200123
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2012年、2014年、2016年
2016年8月、ついにニボルマブが「根治切除不能または転移性の腎細胞がん」に対して、日本でも承認された。これで、ついに腎細胞がんの実臨床にも免疫チェックポイント阻害薬の波が訪れたことになる。思い返せば、腎細胞がんにおいて免疫チェックポイント阻害薬が注目されはじめたのは、2012年のNew England Journal of Medicine誌に発表された、抗PD-1抗体薬であるニボルマブの第Ⅰ相試験において、34例の腎細胞がん患者に治療効果が確認されたことに始まるⅰ。そして、今回のニボルマブ承認の根拠となったCheckMate025試験が開始されたのも同年の9月である。
その2年後、2014年には米国臨床腫瘍学会(ASCO)において、“Unleashing the Immune System in Genitourinary Cancers(泌尿器がんにおける免疫システムからの解放)”と題されたClinical Science Symposiumが設けられた。泌尿器腫瘍に対する免疫チェックポイント阻害薬の早期臨床試験の期待できる結果が続々と報告され、いよいよ免疫療法の時代がやってくるのかと予感を覚えた。本稿では、近年の腎細胞がん治療の現状を振り返り、免疫チェックポイント阻害薬がなぜ大きなパラダイムシフトとなりえるのか、他のがん種と比べた際の腎細胞がんの特徴、そして今後の展望について述べる。
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