Feature Topic がん免疫療法時代の航海図
これから先の航海指針—免疫療法の2年後を先取りする
—論考—がん免疫研究のCutting Edge—Immunogenic cell death
山崎 貴裕
1,2
1INSERM U1015-Tumor immunology and immunotherapy
2Gustave Roussy cancer campus
pp.488-493
発行日 2016年10月15日
Published Date 2016/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1430200119
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抗がん薬による特別な細胞死
これまでのがん化学療法は、がん細胞の細胞増殖抑制や細胞傷害性によって、その効果をもたらしていると考えられてきた。しかしながら、近年になって年単位の長期臨床的効果にはT細胞に代表される免疫細胞が関与していることが明らかになってきた。その関与を証明するように、最近の研究では、化学療法薬が免疫システムに関与するメカニズムとして、「免疫エフェクター細胞の活性化」、あるいは「抗腫瘍効果を減弱させる免疫抑制性の細胞を減らす方法」などが明らかにされつつある。更に加えて、シクロフォスファミドやドキソルビシンなどいくつかの化学療法薬は「Immunogenic cell death(ICD)」という特別な細胞死を誘導することで、がん細胞に対する免疫応答を惹起していることが明らかになってきた。
本稿ではICDの原理とメカニズムを概説しつつ、免疫システムに関与する化学療法薬に関して、免疫化学療法(Immuno-chemotherapy)という視点から解説したい。
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