Feature Topic がん免疫療法時代の航海図
がん免疫療法の現在地
—論考—日本において保険承認されたがん免疫療法のリアル—非小細胞肺がん
大植 祥弘
1
1川崎医科大学呼吸器内科学
pp.508-517
発行日 2016年10月15日
Published Date 2016/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1430200122
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分子標的薬から免疫療法へ
近年の免疫チェックポイント阻害薬を用いた抗体医薬は、悪性黒色腫(メラノーマ)を先導に進行期肺がんにも適応が拡大され、一部の患者で目覚ましい臨床効果を上げている。
これまでの創薬研究は、がん細胞およびがん微小環境の遺伝子異常に基づく異常シグナルを阻害する小分子化合物や抗体医薬の開発が中心であった。事実、EGFR遺伝子変異を有する非小細胞肺がんに対して、分子標的薬の上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害薬(epidermal growth factor recepter-tyrosine kinase inhibitor;EGFR-TKI)は従来の化学療法に比べ、奏効率、全生存期間(overall survival;OS)において有意な改善を認め、画期的ながん治療薬となった。このような小分子化合物は、肺がん患者にとって、大きな福音をもたらしたわけであるが、そのあまりに大きな光の陰で、肺がんにおけるがん免疫療法が認められるまでには、長い歴史があった。
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