Feature Topic がん免疫療法時代の航海図
これから先の航海指針—免疫療法の2年後を先取りする
—論考—複合的がん免疫療法—免疫療法が効かないがんについての考察と展望
池田 裕明
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1長崎大学大学院医歯薬学総合研究科腫瘍医学分野
pp.473-477
発行日 2016年10月15日
Published Date 2016/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1430200116
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これからの免疫療法を考える
抗PD-1/PD-L1抗体、抗CTLA-4抗体などの、いわゆる免疫チェックポイント阻害薬と呼ばれる薬剤が登場し、臨床的に明確な有効性を示し始めたことは、近年のがん免疫療法に対する期待を大きく拡大し続けている。これら免疫チェックポイント阻害薬は悪性黒色腫、非小細胞肺がん、腎細胞がん、頭頸部がん、ホジキンリンパ腫など、様々ながん種において既存治療に難治性の患者や進行性の患者に対して有効性を示している。しかしながら、一部のがん種を除いては単剤での有効率は10〜30%程度であり、無効な患者に対する治療戦略の構築が喫緊の課題となっている。
本稿では、「免疫療法が効くがんと効かないがんとは現在どのように考えられているのか」、「免疫療法が効かないがんを効くように変える工夫が可能なのか」、についての考察を試みたい。また、その「効くように変える工夫」として、複数の免疫療法同士の組合せや免疫療法と他のがん治療法との組み合わせよるアプローチの可能性、そしてその戦略性について、ここでは特に内科的視点から展望してみたい。
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