Feature Topic Over80歳のがん診療
超高齢時代のがん診療について
—論考—超高齢がん患者、なにをどこまでやるべきか—臨床での意思決定を支える評価法とスクリーニングツール
林 直美
1
,
安藤 雄一
2
1公立陶生病院外科
2名古屋大学医学部附属病院化学療法部
pp.260-266
発行日 2016年7月15日
Published Date 2016/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1430200079
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はじめに
高齢がん患者の化学療法の目的は、単に延命を図るのではなく、「生活の質(quality of life;QOL)を維持しながら生存期間を延長させること」であり、化学療法によって引き起こされる副作用やQOLの低下と引き換えに予後を延長させる治療にどれだけの意義を見いだすのかは個人により大きく異なる。
近年の健康関連QOL(health-related quality of life;HRQL)の概念には、従来のいわゆるQOLだけではなく、治療への満足感、予後への満足感などが含まれる。担当医だけでなく、患者やその家族が自らの問題を見つめ直し、評価し、個人に適した治療方針を選択することがHRQLの改善につながると考える。本稿ではこの点について「Over80」ではなくより射程の広い「高齢者」全体から整理したい。
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