特集 意思決定支援 ~患者の“決める”を支援する考えかたと実践のポイント~
高齢がん患者の意思決定支援
西山 みどり
1
Midori NISHIYAMA
1
1有馬温泉病院/老人看護専門看護師
pp.238-241
発行日 2020年3月1日
Published Date 2020/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango25_238
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はじめに
わが国は,高齢化率28.4%の超高齢社会となり,2040年まで増加の一途をたどる1).加齢が,がん発症の一要因であることから考えても,今後も高齢がん患者は増加が見込まれる.
2012年のがん死亡数は36.0万人で,全死亡125.6万人の約3分の1を占める.うち65歳以上の高齢者のがん死亡は29.4万人(全がん死亡の81.4%),75歳以上は20.7万人(全がん死亡の57.2%),85歳以上は8.2万人(全がん死亡の22.6%)であり,がん死亡の5分の1を超高齢者が占めていることがわかる2).
高齢がん患者は,たとえ診断がついても,老化や認知機能低下から治療の選択や継続に困難が生じる,経済的問題や地域社会との関係性の希薄さから十分なサポートが受けられないなど,多くの問題を抱えている.ここではとくに,これから看護の対象として占める割合が増加する後期高齢者,中でもがんをもつ認知症高齢者の意思決定支援に焦点を当て,看護師として求められる知識と技術,態度について考えたい.
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