Feature Topic Over80歳のがん診療
超高齢時代のがん診療について
—論考—超高齢がん患者の生と死—社会学の知見から
伊藤 嘉高
1
,
相澤 出
2,3
1山形大学大学院医学系研究科医療政策学講座
2医療法人社団爽秋会
3東北福祉大学
pp.249-254
発行日 2016年7月15日
Published Date 2016/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1430200077
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80歳以上の超高齢者の姿とは
本稿では、高齢者、とりわけ80歳以上の超高齢がん患者の生活の実態と課題に迫りたい。超高齢者の生活について考えるべき論点としてなによりも重要なのは、いうまでもなく心身の問題である。しかしながら、家族、経済、社会関係、死生観に関する問題も同じように重要である。
とはいえ、そうした超高齢がん患者の生活実態を示す統計データは存在せず、手元にあるのは限られたフィールドの個別のデータのみである。更に言えば、超高齢者全般がどのような生活を送っているのかも十分に把握されていない。そこで、本稿ではまず内閣府「高齢者の日常生活に関する意識調査2014年」*1の個票データ(東京大学社会科学研究所附属社会調査・データアーカイブ研究センターSSJデータアーカイブより提供)を用いて、以上の論点について80歳以上の超高齢者の特性を確認する。次いで、先進的な在宅緩和ケアの現場から、80歳以上の超高齢がん患者の生活実態に迫る。最後に、以上を踏まえ、これからの超高齢がん患者の生活を支えるうえでの社会的課題を提示することにしたい。
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