Feature Topic 早期緩和ケアの正体
別の視点から
—論考—「早期緩和ケア」と「診断時からの緩和ケア」の問題をその背景から考える
小川 朝生
1
1国立がん研究センター東病院精神腫瘍科
pp.66-69
発行日 2016年2月15日
Published Date 2016/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1430200043
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はじめに
Temelらの発表に始まる「早期緩和ケア(early palliative care)」は、がん医療において、緩和ケアに対する見方を変えるインパクトを与えた。また、わが国では、2012年にがん対策推進基本計画が改訂され、「診断時からの緩和ケア」という記述がなされた。このどちらもが、治療と併せて、患者・家族の苦痛を除去するための取り組みを進めることを意図しているのは間違いない。
しかし、臨床においては、この苦痛への対応を進めるにあたり、混乱が生じている。その混乱には、
・「早期緩和ケア」と「診断時からの緩和ケア」は同じなのか異なるのか
・「早期緩和ケア」は一体「なにをする」のかがはっきりしない
などいくつかの問題が含まれている。
混乱の背景には、「早期緩和ケア」や「診断時からの緩和ケア」がどのような取り組みなのか、が併せて伝わっていないことがあるのかもしれない。ここでは、「早期緩和ケア」と「診断時からの緩和ケア」について、その背景の違いから整理を試みたい。
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