Feature Topic 早期緩和ケアの正体
Temel論文のインパクトと現在
—短報—早期からの専門的緩和ケア提供のエビデンス構築を目指して
松本 禎久
1
1国立がん研究センター東病院緩和医療科
pp.65
発行日 2016年2月15日
Published Date 2016/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1430200042
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早期からの専門的緩和ケア介入の可能性
2010年のTemelたちの報告ⅰ以来、「早期からの緩和ケア」の無作為化比較試験が複数報告ⅱ,ⅲされ、その重要性が広く認識されるようになった。患者・家族に最善の治療・ケアを提供するという観点では、「早期からの緩和ケア」という概念自体は当然望ましいものと考えられる。ただし、注意が必要なのは、これまで報告された無作為化比較試験は「早期からの『専門的』緩和ケア」を介入としており、下記のようないくつかの点に留意しなくてはならない。
①全ての患者に専門的緩和ケアの介入を行なうモデルを実現するには限られた医療資源が問題となる
②北米を中心とした欧米からの報告だけである
③介入効果の見られなかった報告も存在する
④介入効果の機序が未だ十分には解明されていない
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