投稿 総合診療外来
上行大動脈から弓部大動脈に限局した高度石灰化からSingleton-Merten症候群が疑われた1例
嶋﨑 枝里
1
,
関根 哲生
1
,
一條 昌志
1
,
矢ヶ崎 英晃
2
,
土屋 恭一郎
1
1山梨大学医学部附属病院 糖尿病・内分泌内科
2山梨大学医学部附属病院 遺伝子疾患診療センター
pp.1415-1418
発行日 2021年11月15日
Published Date 2021/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429203478
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緒言
Singleton-Merten症候群(SMS)は常染色体優性遺伝の稀な疾患であり、古典的SMSの症状は乳歯や永久歯の萌出遅延、歯根異常および歯槽骨吸収といった歯列異常と弓部大動脈や大動脈弁の著明な石灰化を主とし、責任遺伝子としてinterferon induced with helicase C domain protein 1(IFIH1[2q24.2])が同定されている。また、近年歯列異常を伴わないSMSが報告され、DExD/H-box helicase 58(DDX58[9q21.1])が責任遺伝子であることが判明した1)。しかし、SMSの表現型や重症度は不均一であり、同一家系内において表現型と重症度が異なることがあるが、詳細な病態や他の遺伝子異常については明らかになっていない。
われわれは、上行大動脈から弓部大動脈に限局した高度石灰化を契機に、何らかの背景疾患を疑い精査を進め、SMSが強く疑われた1例を経験したため報告する。
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