【臨床小説—第二部】後悔しない医者|今と未来をつなぐもの・第26話
感じとろうとする医者
國松 淳和
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1医療法人社団永生会 南多摩病院 総合内科・膠原病内科
pp.778-783
発行日 2022年6月15日
Published Date 2022/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429203788
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前回までのあらすじ 今月のナゾ
「この患者さん、今日の夕方、足が動かなくなる」。異常所見を認めなかったはずの腹部骨盤造影CT像を一瞥した向後がそう“予言”すると、右井と左座は慌てて駆け出した。患者は、1カ月続く微熱と倦怠感、体重減少のため入院中の83歳・男性で、一向に病状が改善しないことから退院を逸っていた。
舞台は長崎、五島列島の小さな離島の頭ケ島白浜病院である。内科と外科しかないこの病院の内科医・向後のもとで後期研修を受けるため、西畑がここを訪れる直前の出来事だった。
黒野の双子の兄弟と目される向後翠の不思議な力は、どうやら「見ること」と関係するようだ。たとえば画像診断をする時、どのように画像を見て、どのように思考を展開していくだろう? 予め見るべきものを意識化し、見落としがないようリストアップして順に確認していくだろうか。しかし、向後のやり方は違う。どう違うのか? 画像診断医から内科医に転向した右井が、その言語化を試みる。
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