新興宗教にどうのぞむか
深い根を掘りおこしていくこと
佐木 秋夫
pp.11-17
発行日 1957年12月10日
Published Date 1957/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201538
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1.悲劇はいたるところに
新興宗教の悲惨なギセイ者の事例があげられているが,それを読んで強い,いきどおりをおぼえるとともに,現場でこういうものと取組む人の苦労は本当にたいへんなものだ,と感じた.さしあたり,そういう悲劇のおこるのを防ぐ応急策が必要だし,さらに進んでその深い根をたち切つていくしんぼうづよい努力をつづけなければならない.
これほどのひどい事例はザラにあるわけではないが,極端な事例の背後には,それほどめだたないがじつは恐ろしい事例が無数にある.新興宗教の信者の数は,正確にはわからないが,何百という教団の信者を合計すれば,国民の一割ちかくにもなるだろう.しかも,その大部分が自分なり家族なりの病気をキツカケにして入信している.つまり,“病気なおし”をエサに,大衆をひきつけている.だから,国民の健康に及ぼすその影響はきわめて重大だといわなければならない.
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