連載 おとなが読む絵本——ケアする人,ケアされる人のために・119
童話という語り口の深い味わい
柳田 邦男
pp.382-383
発行日 2016年4月10日
Published Date 2016/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686200443
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童話は,文字どおり童のためのやさしくわかりやすい物語のことだが,子どもだけのためのものかというと,必ずしもそうではない。ひと口に童話と言っても,イソップ物語のように,教訓や風刺の意味を含ませた寓話もあれば,アンデルセンの物語のように,人間社会の悲しい現実,不条理な現実を描いた物語もある。あるいは,桃太郎やかちかち山のように勧善懲悪を説く日本昔話も,広義の童話に入るだろう。
ちなみに童話のことをおとぎ話とも言うが,御伽とは,貴人のそばに仕えて退屈をなぐさめるための話し手のこと。英語ではfairy taleだが,fairyは妖精のことだから,ファンタジーの雰囲気がある。
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