現在の区域解剖の理解と肝区域の新しい見方

Comparison of the liver segmental anatomy according to Japanese general rules and the new anatomy from the standing point of portal segmentation

要旨

　肝癌取扱い規約による日本の肝区域は，左側から外側区域，内側区域，Rex-Cantlie線と右肝静脈主幹の間の前区域，右肝静脈主幹より後側の後区域，尾状葉の5区域である．各区域はCouinaudに準じて8の亜区域に分け，前区域はGlisson主分岐より頭側のS8と尾側のS5，後区域はGlisson主分岐より頭側のS7と尾側のS6となる．日本の肝区域分類の特徴は門脈segmentationに沿っていない点である．筆者らは，肝区域は門脈segmentationとドレナージ静脈によって決められるべきと考え，肝はCouinaudのsectorに準じ，それぞれlateralとparamedian sectorとする．右paramedian sectorである前区域は，中肝静脈にドレナージされる腹側区域と右肝静脈にドレナージされる背側区域に分けられ，その間をanterior fissure veinが走行する．左paramedian sectorが左肝静脈にドレナージされるS3と中肝静脈にドレナージされるS4に分けられ，その間をumbilical fissure veinが走行するのと同様である．