講座 Q&Aで綴る画像診断学再考(第14回)
膵臓を考える(その2)
山下 康行
1
1熊本大学大学院医学薬学研究部 放射線診断学部門
pp.348-354
発行日 2009年5月15日
Published Date 2009/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1428100164
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Q君はK大学の後期研修医.毎週毎週,夕方のカンファレンスでの症例提示に追われ,病棟も忙しいのに息をつく暇もない.今日は先週入院した2人の患者さんのプレゼンだ.
症例呈示1
Q君 まず76歳代,男性の患者さんです.飲酒後急激な腹痛で入院されています.血液生化学では血中amylaseが上昇し急性膵炎が疑われており,超音波でも膵の腫大がありました.CT(図1)でも膵臓の腫大と膵臓周囲に浸出液貯留を認めます.
Y教授 そうだね.確かに急性膵炎の診断は問題ないようだね.一般に膵炎の診断については「エビデンスに基づいた急性膵炎の診療ガイドライン」1)が作成され,ホームページでも公開されているので一度は目を通しておいたほうがよいよ.通常,膵炎の画像診断としては腹部単純写真や超音波が行われ,CTはもっぱら重傷度の判定に用いられる.CTでは膵臓の腫大,浮腫性変化以外に浸出液貯留がみられるが,この浸出液はどこにたまっているのかな.
Q君 膵臓の周囲だと思いますが….
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