演習・放射線診断学 CTスキャン読影のコツ・8
膵臓
板井 悠二
1
Yūji ITAI
1
1東京大学医学部・放射線科
pp.254-260
発行日 1980年2月10日
Published Date 1980/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216415
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はじめに
膵臓の全体像がCTによって非侵襲性に明瞭に描出されることは,まさに驚きそのものであった.しかし,このことと切除可能な膵癌がCTで発見し得るか否かはまったく別問題である.現在までの知見の集積に基づく答は,膵内に留まり膵輪郭に変化を与えぬ膵癌を見出すことはきわめて困難という悲観的なものである.だが進行膵癌が90%くらい正診されるとの報告は,それ自体やはり価値ありとみなすべきである.少なくも過剰な検査を避け,速やかに診断に至る点でCTの有用性は認められる.そのほか,膵結石,膵のう胞についてはきわめて有効かつ信憑性が高い.膵自体の大きさも正確に評価でき,経時的変化も客観的に評価し得る.
膵CTの読影を正常膵とスキャン法,膵癌,膵炎に分けて記す.
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