シリーズ・超音波診断・9
膵臓
木本 英三
1
Eizo KIMOTO
1
1名古屋大学医学部附属病院検査部
pp.1006-1009
発行日 1986年9月15日
Published Date 1986/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542913066
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膵臓の超音波像を読影するに際しては,実質像(形・大きさ・境界の性状.内部エコーの輝度と配列)と膵管像(拡張の有無・辺縁の性状)の二点に着目し,それらの所見を総合して判定していく.
正常膵(図1)はおたまじゃくし様の形状で,内部のエコーは規則的な配列を示す.主膵管径は2mmまでで,辺縁平滑である.大きさは頭部で,前後径30mm以上あれば病的腫大と言える.急性膵炎ではガスに妨害されることは多いが,膵腫大(図2では頭部で40mm),周囲浸出液,仮性嚢胞形成(図3)が見られ,経過とともに変化していく.慢性膵炎の急性憎悪でも嚢胞が形成されることはあり,膿瘍化すると(図4)壁は不整に肥厚し,中隔様の像,debrisも出現する.慢性膵炎の特徴的な所見としては,膵管の広狭不整な拡張(図5),膵管内(図6)や実質内の膵石エコーが挙げられる.膵石は大きいものではstrong echoとその後方の音響陰影(acoustic shadow;AS)とが明瞭であるが,小さい膵石になるとASが不明瞭となりやすい.特に静止画像にするとわかりにくいので,リアルタイムに種々方向を変えて確認する.蛋白栓(protein plug)は超音波像として捉えられることはまれであるが,図7のようにあたかも膵管内の腫瘍のように描出されたり,実質内のムラとして認識されたりする.
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