講座
知っていると役に立つ超音波のサインと用語
竹原 靖明
,
森 秀明
pp.372-373
発行日 2002年5月15日
Published Date 2002/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1427900421
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Mirror Image(鏡面像)
鏡の前にある物体が鏡の向こうにあるように見える現象は,日常しばしば経験する(図1).これは鏡で反射した物体「A」が,反射経路の延長線上の「A'」に表示されるためで,この現象を鏡面現象(mirror phenomenon),虚像「A'」を鏡面像(mirror image)という.
超音波は探触子に近い範囲では,光と同じように直進し,また反射する性質があり,これと全く同じ現象が超置波画像にも見られる.超音波画像における「鏡」の条件は,表面が滑らかで反射が強く,波長より十分厚い幅を有することであり,腹部の場合,今までに横隔膜,錐体,および肺注1)が挙げられている.被写体の多くは肝臓の腫瘤性病変(血管腫,嚢胞)と血管である.図2は肝静脈とその鏡面像で.探触子から放射された超音波が横隔膜で反射し,反射したエコーが肝静脈にあたって反射すると,そのエコーは超音波が放射された経路を逆戻りして,探触子で受信される.受信されたエコーは反射経路の延長線上の「A'」「B'」にあるかのごとく表示されることになる.この鏡面像は超音波両像独特のアーチファクトで,ドプラ表示におけるブルーミング(blooming)の原因の一つにもなっている(本誌,2001年3巻4号 536頁参照).
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