講座
知っていると役に立つ超音波のサインと用語
一二三 倫郎
1
,
山根 隆明
2
1熊本赤十字病院消化器科
2熊本赤十字病院外科
pp.272-273
発行日 2001年3月15日
Published Date 2001/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1427900286
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Bright Liver (高輝度肝)
正常肝における肝実質部は“スペックルパターン”と呼ばれる均一に配列されたほぼ同大のエコースポットで表わされ,その輝度は腎や脾のそれと同等かやや高く表示される(本誌1巻1号126頁1999年参照).その肝実質に生理的範囲を越えて脂質(中性脂肪)が沈着するとエコースポットは密になり,その輝度が増強してくる.この所見をbright liver(高輝度肝)と言う.しかし,この所見は被検者の腹壁の状態(肥満など)や超音波診断装置の設定条件(STC,gain)などに影響されやすいため判定は主観的になる.通常は①肝のエコーレベルが右腎よりも明らかに高い所見(肝腎コントラスト:hepato-renal echo contrast陽性),②肝内脈管(肝静脈,門脈)の不明瞭化(vascular blurring),③肝の深部エコー減衰(deepattenuation),④肝と胆嚢壁や右腎境界の不明瞭化(maskingsign,fatty bandless sign),⑤肝内限局性低エコー域の出現(focal spared lesion or area)などの所見を参考にして判断する.bright liverの所見を呈するものとしては,脂肪肝が代表的であるが,他にアルコール性肝障害や慢性肝炎(特にC型肝炎)による慢性肝障害でも認められることがあるので,brightliverすなわち脂肪肝とは言えない.脂肪肝以外の慢性肝障害に見られるbright liverは,脂肪肝に比べてやや粗い高輝度エコーになることが多い.
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