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Triangle Sign
胆囊腺筋腫症は,その病変の局在によって限局型(localized type),分節型(segmental type),びまん型(generalized type)の3型に分類される.そのなかで分節型は,胆囊頸部・体部移行部付近において限局性の壁肥厚を認め,これが超音波検査においては胆囊内腔にトライアングル状に突出した壁肥厚像として描出される.この所見をトライアングルサインと呼び,分節型の胆囊腺筋腫症の特徴的所見である.典型例では,このトライアングル状に隆起した壁内にRokitan-sky-Aschoff sinusを表す囊胞状の無エコーや低エコー像,あるいはコメット様エコーを描出できる(図1).この胆囊壁の増殖性病変が強くなり,これにより胆囊内腔が狭小化し2分画されたようになると砂時計胆囊(hourglass gallbladder)と呼ばれる二房性胆囊の状態になる.トライアングルサインを呈する分節型の胆囊腺筋腫症では,底部側において胆囊癌が合併した例が報告されており,本所見を描出した場合には癌の合併にも注意を払う必要がある.
Thread and Streaks Sign
原発性肝細胞癌の門脈内および肝静脈内進展,腎細胞癌の腎静脈内進展に伴って形成された腫瘍栓が静脈本来の血流を遮断し,代わって腫瘍栓内部に長軸方向の線状血管が描出される状態をさす1).腫瘍栓には栄養血管としての豊富な動脈枝が分布し,腫瘍栓内の血洞が線状に分布していることが多いため糸を束ねたような線状の造影剤の滞留としてみられ,これがThread and streaks signである(図2).また,時に腎細胞癌の下大静脈内進展例で同様の像を見ることがあるがいずれも病態は基本的に同じである.しかしThread and streaks signは主に肝細胞癌で使用される用語であり腎細胞癌の場合はstriated vascular patternと呼ぶ.超音波像では拡張した脈管構造内部に充実エコー部分が捉えられ,さらにカラードプラ法やパワードプラ法で病変を長軸方向に観察することによって内部に拍動性の線状血流表示が認められる(図3).また,最近普及した造影超音波法では血管造影や造影CTと同様に腫瘍栓内部を線状に走行する細かい無数の栄養血管が描出できる(図4).
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