講座
知っていると役に立つ超音波のサインと用語
竹原 靖明
1
1新横浜病院横浜総合健康センター
pp.116-117
発行日 2001年1月15日
Published Date 2001/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1427900262
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Acoustic shadow (音響陰影)
超音波が伝播するpathwayに強い反射体や吸収体があると,超音波の伝播が妨害されてその後方は無エコーまたは低エコー域になる.この現象をacoustic shadow (音響陰影)と呼ぶ(図1).消化器領域では種々の結石や石灰化病変また肋骨,消化管ガスなどの後方に現れる.肋骨や消化管ガスなどによる“音響陰影”はしばしば診断の妨げになるが,結石の場合は音響陰影の有無がポリープ様隆起性病変との鑑別に役立ち(図2),“音響陰影”の現れ方が結石の種類の判定に役立つ(本誌2巻4号411-417頁2000年参照).
一般的に“音響陰影”は反射体の種類,大きさ,その位置などによって変化する.周知のごとく,超音波ビームは収束域では細く,その前後,すなわち探触子に近い領域と遠い領域では広くなる.このビーム内の音圧は探触子に近い領域(近距離音場)を除いては,ビームの中心部(中心軸という)が最も高く辺縁部は低い(図3d).結石などの反射体をこのビームの中心部でとらえると,エネルギーの大部分は反射して,その後方に“音響陰影”ができる(図2b,3b).反対にビームの辺縁部で結石をとらえると結石エコーは現れるが,エネルギーの大半は後方に伝わり“音響陰影”は現れない(図2a,3a).
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