講座
知っていると役に立つ超音波のサインと用語
一二三 倫郎
1
,
山根 隆明
2
,
森 秀明
3
1熊本赤十字病院消化器科
2熊本赤十字病院外科
3杏林大学第三内科
pp.134-135
発行日 2002年1月15日
Published Date 2002/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1427900383
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Hepato-Renal Echo Contrast(肝腎コントラスト)
正常肝における肝実質部のエコー輝度は腎・脾と同等か,やや高く表示される程度であるが,肝に中性脂肪の沈着が起こりbright liver(高輝度肝:本誌3巻2号272頁参照)の状態になると,肝のエコー輝度が右腎に比べて明らかに高くなる.この所見を肝腎コントラスト陽性(hepato-renalecho contrast陽性)と言い,脂肪肝を強く疑う所見とされる(図1).肝小葉の約30%以上の肝細胞に脂肪沈着がある場合には高率に肝腎コントラスト陽性になると言われている.肝のエコー輝度が右腎と同等あるいはそれ以下の場合は肝腎コントラスト陰性と言い,脂肪肝を否定してよい.通常は右肋間走査により,同一断面に肝右葉と右腎を描出し,両者のエコー輝度を比較し判定する.強度の肥満や摘出手術などにより右腎と肝のエコーレベルを比較できない場合には,脾(肝脾コントラスト)あるいは左腎を基準として判定する場合もある.しかしながら,肝腎コントラスト陽性であれば必ず脂肪肝と言うことではないので,超音波による脂肪肝の判定には深部エコー減衰(deep attenuation),肝内脈管の不明瞭化(vascular blurring),胆嚢壁や右腎境界の不明瞭化など脂肪肝に認められる他の所見を参考にして総合的に判定するべきである.
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