門脈・肝動脈浸潤を伴った進行胆嚢癌の手術成績

Surgical Treatments for Advanced Gallbladder Carcinoma Involving the Portal Vein and the Hepatic Artery

　Stage III,IVの進行胆嚢癌73例の外科切除成績を門脈・肝動脈の合併切除を施行した血管合併切除群15例と，血管合併切除を要さなかった血管非切除群58例に分け検討を行った．15例中門脈合併再建を11例，肝動脈合併切除を4例，下大静脈壁切除を2例に行った．根治度は血管合併切除群は27％と血管非合併切除群の59％に比べ治癒切除率（根治度A＋B）は低かった．術後在院死亡率は全体で14％で両群間に差異をみない．しかしながら生存期間では血管非合併切除群の1年46％，2年34％，3年24％，4年21％，5年17％に比べ血管合併切除群では1年29％，2年0％と不良であった．進行胆嚢癌における血管浸潤例に対する門脈・肝動脈・下大静脈の血管合併切除は，その進行度の高さゆえ治癒切除率の向上および予後向上を現時点ではもたらすには至らないと考えられた．