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特集 肝転移―その特性からみた診断と治療
肝転移の原発巣からみた診断・治療のアルゴリズム―胆道・膵癌
Diagnostic and Therapeutic Algorithm of Hepatic Metastases from Biliary Tract and Pancreatic Cancer
宮崎 勝
1
,
伊藤 博
1
,
木村 文夫
1
,
清水 宏明
1
,
大塚 将之
1
,
吉留 博之
1
,
加藤 厚
1
,
吉富 秀幸
1
,
野澤 聡志
1
,
澤田 成朗
1
,
三橋 登
1
,
安蒜 聡
1
Masaru MIYAZAKI
1
,
Hiroshi ITO
1
,
Fumio KIMURA
1
,
Hiroaki SHIMIZU
1
,
Masayuki OHTSUKA
1
,
Hiroyuki YOSHIDOME
1
,
Atsushi KATO
1
,
Hideyuki YOSHITOMI
1
,
Satoshi NOZAWA
1
,
Shigeaki SAWADA
1
,
Noboru MITSUHASHI
1
,
Satoshi AMBIRU
1
1千葉大学大学院医学研究院臓器制御外科学
1Department of General Surgery, Graduate School of Medicine Chiba University, Chiba
キーワード:
胆道癌
,
胆管癌
,
胆囊癌
,
膵癌
,
肝転移
Keyword:
胆道癌
,
胆管癌
,
胆囊癌
,
膵癌
,
肝転移
pp.527-531
発行日 2005年7月15日
Published Date 2005/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1427100541
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要旨 胆道癌,膵癌の肝転移は遠隔転移として他の腹膜播種,広範リンパ節転移および腹腔外転移と同様なものとして扱われ,Stage IVbにステージングされる.その予後は大腸癌肝転移などとは異なり極めて不良であり,その生存期間は胆道癌肝転移で通常4~10か月,膵癌肝転移では2~4か月とされる.したがって診断・治療アルゴリズムとして全身状態の耐術能判定,局所癌進展度判定とともに肝転移を含めた遠隔転移の有無を同時に診断して行くことが治療選択を決定するうえで極めて重要である.したがって胆道癌,膵癌肝転移に対する肝切除の報告は極めて少なく,またその成績も不良であり積極的切除を支持しえるものではない.しかし胆道癌肝転移例においては僅かながら生存期間の延長を期待しえる報告も見られるがその症例選択は十分に慎重であるべきと思われる.したがって胆道癌,膵癌肝転移例に対しては通常全身化学療法が選択される.しかしながらその有効性については定かではなく,転移巣に効果を認めても生存期間に明らかな延長効果を得られるエビデンスをもつ制癌化学療法のRegimenは未だない.一方これら予後の極めて不良な肝転移に対して肝動脈内制癌化学療法も多く報告されているが肝転移再発の抑制効果を示したとする報告は見られるものの,やはり生存期間の延長を示しえるデータはない.新たな治療戦略がこれら肝転移例の予後改善には必須である.
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