講座 最新の消化器CT診断
CTの造影検査を考える
山下 康行
1
1熊本大学医学部放射線医学講座
pp.126-131
発行日 2003年1月15日
Published Date 2003/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1427100525
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CTは臓器によってX線吸収の程度が異なることを利用して,体内の構造を画像化する方法である.しかし腹部では肺などと異なり臓器間,あるいは病変部と周辺の健常部のX線吸収の差はごくわずかである.そのためコントラストは造影剤(ここでは経静脈性の造影剤に限定する)に依存することが多い.十分なコントラストを引き出すためには,造影剤の動態を理解することが極めて重要である1).一方,造影検査にはヨードアレルギーなどの副作用も皆無とはいえず,その点についての知識も臨床医としてはある程度必要であろう.今月は造影剤について基礎的な事項と最近問題となっている造影検査のインフォームドコンセントについて取り上げた.
CTで用いる造影剤は?
CTで用いられる造影剤は分子内にヨードを持ち,X線を透過させにくい薬剤である*注)(図1).最近は安全性の面から低浸透圧の非イオン性の造影剤が用いられることが多く,熱感や悪心,嘔吐もかなり減少した.造影剤のヨード濃度は150mgI/mlから400mgI/mlまでのものが市販されているが,CTでは300mgI/mlのものが用いられることが多い.濃度の濃い350~370mgI/ml(欧米では400mgI/mlも用いられることがある)造影剤を用いると少ない量で高い造影効果を得ることが可能である.
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