連載 臨床神経学プロムナード—60余年を顧みて・13
脊髄性進行性筋萎縮症(SPMA)〔成人,非遺伝性〕と脊髄性筋萎縮症(SMA)〔小児・青年,遺伝性〕の歴史的プロムナード:呼称の類似が誤解を産む
平山 惠造
1,2
1千葉大学(神経学講座)
2日本神経治療学会
pp.302-305
発行日 2022年3月1日
Published Date 2022/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416202031
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両者は時として混同され,誤解を産む。この2つの病名SPMA(spinal progressive muscular atrophy)とSMA(spinal muscular atrophy)は進行性progressiveの「ある」「なし」の違いに過ぎないが,歴史的経緯も病名の意味するところも全く異なる。前者SPMAは特定の疾患を示す固有疾患名であり,後者SMAは小児・青年期に筋萎縮を来たす疾患群を束ねる概念的疾患名である。このような病名の使い方はいろいろな場合にみられる。例えば,筋萎縮性側索硬化症(ALS)は固有疾患名であるが,運動ニューロン疾患motor neuron disease(s)(MND)はALSを初め運動ニューロンが障害される諸疾患を包含する概念的疾患名である。概念的疾患名は教科書や単行書などでの疾病分類(項目)などで用いられることが多い。類例として「多系統萎縮症」などがある(別著参照)1)。従って概念的疾患名は時代の推移などで扱いが変ることがある。前置きはこの程度にして本論に入ることにしよう。
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