連載 臨床で役立つ末梢神経病理の読み方・考え方・11
薬剤性ニューロパチー
佐藤 亮太
1
,
神田 隆
1
1山口大学大学院医学系研究科臨床神経学
pp.166-170
発行日 2020年2月1日
Published Date 2020/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416201497
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はじめに
末梢神経障害の原因となり得る薬剤は,既に100種類を超えている。脳神経内科診療では,薬剤性ニューロパチーが紹介患者の2〜4%の頻度を占めるとされ1),決して稀な疾患ではない。また,日々,新たな薬剤が上市されるため,われわれ脳神経内科医は常に知識をアップデートしておく必要がある。代表的な薬剤性ニューロパチーが,化学療法誘発性ニューロパチー(chemotherapy-induced peripheral neuropathy:CIPN)である。薬剤性ニューロパチーの中には,緩徐進行性の四肢遠位部優位の感覚運動性ニューロパチーの臨床像を呈するものがあり,糖尿病性ニューロパチーなどの他のニューロパチーとの鑑別が困難であることが少なくない。そのため薬剤性ニューロパチーの臨床では,被疑薬の同定と他疾患との鑑別が重要である。そして,各薬剤によるニューロパチーの病態や腓腹神経病理の知識を身につけておくことは,薬剤性ニューロパチーが疑われる患者に遭遇したときに,正確に鑑別診断を進め,被疑薬を正しく扱うために必要不可欠である。連載第11回となる今回は,CIPNを中心に薬剤性ニューロパチーの病理所見を提示する。
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