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書評 「多発性硬化症・視神経脊髄炎—診療ガイドライン2017」—日本神経学会【監修】 「多発性硬化症・視神経脊髄炎診療ガイドライン」作成委員会【編】
福武 敏夫
1
1亀田メディカルセンター神経内科
pp.1434
発行日 2017年12月1日
Published Date 2017/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416200930
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私も経験を積み,論文や総説を書き,書籍や特集号の執筆や編集に当たるようになって,書評を依頼されることも増えてきた。その書評の書き方にはいろいろあって,淡々と内容の梗概を紹介していくものや,特徴を抽出して紹介するもの,著者との関係や執筆の背景に力点が置かれるものなどがあり,時にはちょっとだけ苦言が加えられたりしている。
本書の書評が,幅広く・底が浅い日常診療を行っている臨床医である私に依頼されたのは,そのような診療現場で本書が役立つかどうかを述べ,この方面に関心のある臨床医が本書を手に取るきっかけを供するためだろう。その点で,本書は疾患概念や疫学,病態についての総論と診断・予後についての各論Ⅰと治療についての各論Ⅱに分けられ,全部で110に及ぶclinical questions(CQ)について回答と解説および文献が整理されており,臨床現場で疑問に思うこと,短時間に概要を得たいことにすぐに答えを見つけることができる。その内容は大規模研究を中心に(本邦からは小規模のものも含まれる)1990年から2015年3月までの文献が,多数の委員の2年間,11回(うち9回はほぼ1年間に)にも及ぶ検討で絞られて記述されている。いくつかの学会のいろいろの委員を務めた経験から言うと,この負担というか努力には頭が下がる。本書はこの方面の臨床に従事する医師にとって,ベッドサイドに常備して使いこなしたい一冊である。
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