特集 神経免疫:多発性硬化症、脳虚血、アルツハイマー病、精神疾患における炎症反応と免疫異常
多発性硬化症・視神経脊髄炎に対する免疫療法
荒浪 利昌
1
1国立精神・神経医療研究センター神経研究所
キーワード:
自己抗体
,
視神経脊髄炎
,
多発性硬化症
,
薬物反応性低下
,
CD20抗原
,
Interferon-Beta
,
Th1細胞
,
調節T細胞
,
Aquaporin 4
,
Th17細胞
,
病態生理
Keyword:
Autoantibodies
,
Drug Tolerance
,
Multiple Sclerosis
,
Neuromyelitis Optica
,
Interferon-beta
,
Antigens, CD20
,
Th1 Cells
,
Aquaporin 4
,
T-Lymphocytes, Regulatory
,
Th17 Cells
pp.1060-1063
発行日 2011年9月22日
Published Date 2011/9/22
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多発性硬化症(MS)は,中枢神経系に広く病変が多発し,髄鞘抗原特異的T細胞やB細胞が介在する自己免疫疾患であると考えられており,病原性細胞としてTh1細胞とともにTh17細胞が注目されている.一方,視神経と脊髄が冒される視神経脊髄炎(NMO)には,血中にアクアポリン4に対する自己抗体(抗AQP4抗体)が存在し,病態形成に関与すると考えられている.MS治療の中心であるIFN-βは,Th1細胞の働きが亢進している病態では効果が期待されるが,Th17細胞が優位な状況では無効である可能性がある.NMOに対する新たな免疫療法として,抗CD20抗体などによる液性免疫を標的とする治療の有効性が示唆されている.
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