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あとがき/読者アンケート用紙
神田 隆
pp.96
発行日 2017年1月1日
Published Date 2017/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416200646
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今米国でこの文章を書いています。世界の皆があっと驚いた大統領選の1週間後で,「Neuroscience 2016」が開催されているここカリフォルニアではさぞや反トランプの嵐が吹いているだろうと想像していましたが,目立ったデモがあるわけでもなく,いつもと同じ西海岸の風景でした。口演発表の中で突然スライドを交えてトランプ批判を始めた発表者がいたのには驚きましたが(さすがに座長がたしなめていましたが),それよりも気になったのは,参加している東洋人の中で日本人のパーセンテージが年々減っていくように思われること,さらには,欧米の有名ラボからの発表で,引用文献には日本人が筆頭著者になっているものが次々出てくるのに,最後のスライドのcollaboratorの中に日本人の名前がほとんどみられなくなったことでした。かつては日本の若いM.D.のかなりの割合の人たちが,大学から派遣されて欧米で数年間過ごしていたはずで,近年よく言われている「日本人が内向きになった」ということ以外にも,新医師臨床研修制度導入(もう12年経ちました。もはや「新」ではありません)に端を発する日本の大学(医局と言ってもよいかもしれません)の体力低下が大きく関連しているように感じました。医学生理学分野での日本人のノーベル賞候補者はまだまだ目白押しですが,これが後何年かで種が尽きる予兆でなければよいのですが。
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