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あとがき/読者アンケート用紙
神田 隆
pp.1452
発行日 2015年11月1日
Published Date 2015/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416200321
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9月号の本誌特集でとりあげました酵素補充療法はほんの一例ですが,神経疾患に対する治療の進歩は目を見張るものがあります。本特集号のギラン・バレー症候群も,久々の新薬としてエクリズマブの医師主導治験が進行中です。私が医師になりたての頃は,神経内科で使える薬というとベーシックな抗パーキンソン病薬や副腎皮質ステロイド薬のほかは抗てんかん薬かビタミンB12くらいで,昨今の学術大会のように10指に余るスポンサードセミナーが毎日催される状況は想像もできませんでした。さらに数年前の話をします。私は母校が御茶ノ水にあり,講義をエスケープして駿河台界隈を歩いていますと,明治大学をはじめとする私学の構内・構外に乱立する立看板(今はもう死語でしょうか)がいやおうなしに目に入りました。学園紛争の山場は既に過ぎた時代でしたが,「産学協同」ということばは「米帝」「日帝」(これも立派な死語ですね)と同じようなレベルで,ゲジゲジのように否定的に扱われていたのを思い出します。今や創薬の世界では「産学連携」は国のスローガンの1つであり,誰も疑念を抱かないお題目になっているのとは今昔の感があります。新たな治療法の開発は難病患者の相当部分を担当する神経内科医として最大の使命の1つです。産との密接なやり取りはこれからも大いに推進されるべき事項であろうと思います。
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