学会印象記
AAIC 2016—Alzheimer's Association International Conference 2016(2016年7月22〜28日,トロント)
間野 達雄
1
,
宮川 統爾
1
,
岩田 淳
1
1東京大学医学部附属病院神経内科
pp.89-91
発行日 2017年1月1日
Published Date 2017/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416200643
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2016年7月22日より28日までAAIC2016に参加した。本学会は米国アルツハイマー病協会が主催する学会で,主に北米もしくは欧州にて開催される。2016年は2015年のワシントンD.C.に引き続きカナダのトロントにて開催された。本年は70カ国から2,600にのぼる演題が登録され,アルツハイマー病のみならずありとあらゆる認知症性疾患の基礎研究から介護まで幅広い発表が行われた。基礎研究から臨床研究まで幅広い研究者が同じ場に集まって議論を交わすことが本学会の特徴であり,基礎研究と臨床研究の橋渡しをすることのできる学会としての位置づけは,現在のアルツハイマー病研究の中でますます重要なものとなりつつある(写真1)。
臨床研究の分野では,世界初となる抗タウ薬による第Ⅲ相治験の結果が明らかとなり,注目が集まった。891名の患者に対する15カ月に及ぶ二重盲検試験では,抗タウ薬LMTM[leuco-methylthioninium bis(hydromethanesulfonate)]の投与により,主要評価項目のADAS-cog,ADCS-ADLには有意差はみられなかった。同種薬の第Ⅱ相治験では有望な結果が示されていたため,非常に残念な結果であったと言える。
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