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DIANとは「dominantly inherited Alzheimer network」の略称で,大意としては優性遺伝性のアルツハイマー病の親を持つ子たちを対象とした研究ネットワークである。本研究ではそれらの人たちに発症前段階から登録してもらい,種々のバイオマーカーを計測し,発症までの時間とそれらのバイオマーカーの変化を比較検討することにより正確な病態を把握することを目的としている。現時点までにワシントン大学で行われているDIAN観察研究には遺伝子変異を有するキャリアが262名,非キャリアが168名登録されている。また本研究には米国国内の8つの施設のほか,英国,オーストラリア,ドイツ,アルゼンチンの施設に加え,2016年から日本も参加し,現時点で世界から合計16の研究機関が参加している。2016年から本研究の研究責任者はワシントン大学のモリス教授からベイトマン教授に交代している。日本においても2014年からDIAN-J(DIAN-Japan)研究の着手が厚生労働省で認可され,2015年より日本医療開発研究機構(AMED)研究としてスタートした。
このDIAN研究に参加する被験者たちは,自分が将来アルツハイマー病を発症するリスクを50%の確率で有している。そのため将来への不安や他人に言えない悩みや戸惑いなどに苦しんだり,また親が病気のために生じる困難に直面したりしながら生活し,日々さまざまな問題を抱えている。DIAN family conferenceは,そのような家族がお互いの気持ちを話したり,病気のことを相談したり,主治医には聞けないような質問など,さまざまな情報を提供・共有したりしてお互いを勇気づけ,励まし合う交流の場として,年に1回全米各地からその年のAAIC(Alzheimer's Association International Conference)に合わせて招待され集まる会合である。開催実行責任者は,DIAN研究を主催しているベイトマン教授である。
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