天地人
国際会議とInternational Conference
犬
pp.1675
発行日 1984年9月10日
Published Date 1984/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219230
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5月の新緑が滅法美しいボルチモアの郊外で開かれたちっぽけな国際会議,confer-enceと言うよりmeeting,に参加した.我がジャパンも少しは地位が向上したので,こういうmeetingに招かれたり,dumb同然の身が座長を仰せつかったりする.
座長席から眺めていると,いろいろ面白い.米国以外の出席者は20%前後である.まず,前方に群れをなして一団となっているのはフランス組である.彼らの英語は決して上出来ではない.チトトキシック(cytotoxic)を連発する.我々日本人は,異邦人が奇妙な日本語を操ったとて,クスクス程度に笑っても大声で嗤うなどというような失礼なことはしない.アメリカ人は,下手な英語には大声で嗤い,遠慮会釈なく質問を打切ったりする.こういう場合にもフランス組は臆することなく発言する.ボスが座長席に押し掛けて,英語以外の人間がいるのだから英語をゆっくりしゃべれと抗議を申入れたりする.まことに心強い限りである.ただし,効き目は全くない.一方,我が同胞も群れをなしているには違いないが,いかんせん数人宛の学校単位の群れである.イチャモンをつけてくれるようなボスは不在である.一度質問して言葉がうまく通じなかったりすると意気消沈する.
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