--------------------
あとがき
内山 真一郎
pp.1102
発行日 2009年9月1日
Published Date 2009/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416100563
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
本号では脳血管障害治療の進歩を特集した。脳卒中治療の進歩は目ざましく,神経疾患の治療の中でも最もダイナミックな変貌を遂げていると言える。脳卒中の治療や予防の進歩により脳卒中の死亡率や発症率は確かに減少しつつあるが,老齢人口の激増という負荷がそれを凌駕しているため脳卒中の患者数は依然として増加し続けており,2010年には300万人を突破し,少なくとも2030年まで増加は続くと予測されている。増加し続ける脳卒中患者に対してはさらなる治療法や予防法の進歩が必要となる。このような視点から,本特集では脳卒中急性期治療のハイライトとなっている血栓溶解療法の動向,新たな認識と取り組みが必要とされているTIA,非侵襲性とデバイスの進歩によって適応拡大が期待されているステントやコイル塞栓術による血管内治療,ブレークスルーになる可能性を秘めた治療として今後の進歩が期待される遺伝子・再生医療を取り上げた。脳卒中は,厚労省が最重要課題として取り組むべき3疾病として癌・糖尿病と並んで指定している社会的ニーズの高い疾患であり,現在,成立した癌対策基本法に続いて脳卒中対策基本法が法案として国会に提出されようとしている。本特集で取り上げた治療法は今後の脳卒中対策の中で極めて重要な位置を占めると考えられる。
Copyright © 2009, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.