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3月24~26日に会長として開催する第36回日本脳卒中学会総会が目前に迫っており,今その準備で大わらわである。本学会は「STROKE2011」として日本脳卒中の外科学会とスパズム・シンポジウムとの共同開催であるが,今回は史上最多の1,700演題以上の応募があり,5,000名の参加者が見込まれており,今や日本神経学会と肩を並べる規模の学会に成長した。全国の神経内科受診患者の5割以上は脳卒中患者であり,脳卒中は神経内科が対象とする最大の疾患である。それにもかかわらず,脳卒中をいまだに軽視する神経内科医が少なからず存在し,脳卒中を診療したがらない神経内科医も少なくない。このような風潮はどちらの学会にも好ましくないことであり,今後は両学会の学術的および人的交流を活発化し,一丸となって研究の発展と社会への貢献を目指すべきであり,両学会に関与する1人として,自らも積極的に橋渡し役を務めたいと考えている。
本号の特集は「てんかんの新しい治療」である。一昔前には,てんかんは主に精神科で診療していた時代があったが,今やてんかんは脳卒中と並んで神経内科で診療する,最もポピュラーな疾患の1つである。これまで,海外でずっと以前より一般的に使用されている抗てんかん薬が日本では承認されず,効果はあるものの重篤な副作用も少なくない古典的な抗てんかん薬を使用せざるを得ず,てんかん患者の治療に難渋していた。すなわち,抗てんかん薬は現在社会的にも問題視されているドラッグラグの弊害が最たる薬剤であった。しかし,日本でもようやく海外で用いられてきた薬剤が新薬として使用可能になりつつあり,抗てんかん薬を象徴としててんかん治療は新しい時代に突入したといえる。
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