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時の流れは早いもので,今年も年の瀬がすぐそこまで近づいてきたが,「脳と神経」と「神経研究の進歩」が合体して本誌が刊行されてからちょうど1年になろうとしている。Index Medicus掲載誌であり,査読により受理された原著や症例報告を掲載し,読者は神経内科医と脳外科医が半数ずつを占めることを特徴としていた「脳と神経」と,権威のある神経学の専門誌として総説や原著を掲載し,原稿執筆依頼が名誉であると評価されていた「神経研究の進歩」が合体すると聞いた当初は,神経学という共通の領域の雑誌ではあるものの,かなり異質な両誌の融合がうまくいくのか懸念もあった。しかし,出版社や両誌の編集委員たちの努力と,何より高いクォリティーと話題性のある論文を投稿していただいた執筆者の方々のご努力により,購読数も伸びているようであり,順調な船出に胸をなでおろしている。今後もpeer review journalとしての旧「脳と神経」と,神経学のオピニオンリーダー誌としての旧「神経研究の進歩」の長所を生かした神経学の総合誌として,幅広い読者に愛される雑誌として発展することを願っている。
Peer review journalという側面からコメントを述べさせていただくと,査読していて目に付くのは英文抄録に問題がある投稿論文が多いことである。非常に優れた内容で書かれた論文であるとの印象を持って読んでいたところ,英文抄録になると,途端にこれが同一人物の書いた文章かとびっくりするほど低レベルだったり,あまりにもラフで短すぎたりする原稿が少なからず見受けられるのである。海外の読者にとって,本誌の論文をコンピュータ検索して内容をチェックする唯一の手段は英文抄録であり,このような英文抄録では海外の読者に自分の論文が引用される機会をみすみす失うことになる。本誌は英文誌ではないので,せめて英文抄録は共著者も協力し,native speakerにも必ず校正してもらい,投稿規定内で最大限の字数を使い,内容が十分に伝わるように努力していただきたい。
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