Japanese
English
連載 神経学を作った100冊(23)
クロード・ベルナール 神経系の生理学および病理学の講義(1858年)
One Hundred Books which Built up Neurology (23)-Claude Bernard "Leons sur la Physiologie et la Pathologie du Systeme Nerveux" (1858)
作田 学
1
1日本赤十字社医療センター神経内科
1Department of Neurology,Japanese Red Cross Medical Center
pp.1390-1391
発行日 2008年11月1日
Published Date 2008/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416100389
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 参考文献 Reference
クロード・ベルナールは生涯に14冊前後の書物を出版した。その中で,主として神経学に関連した記述はこの本にまとめられている。これは1856年12月17日から1857年7月1日まで,コレージュ・ド・フランスで講義した内容をまとめ出版したものである1)。
第1巻には回帰性感覚の問題についてのベルナール自身の説明がある。それは1840年の初めにマジャンディーとロンジェの間で論争され,彼自身によって解決されていた。また脊髄根と脊髄についての自分の研究も収載した。まだ内勤助手のとき,彼はイヌで一方の後肢の後根を切断して,この感覚を失った肢ではもう体重を支えることができないことを示した。今度はさらに進めて,カエルで感覚を失わせた肢の動きがぎこちなくなり,協調性がなくなることを確認した。彼はこれらの効果が単に皮膚感覚,すなわち触覚の喪失によるものではないことを示した。なぜならカエルの後肢の皮膚を除神経してもカエルはいつもと同じように巧みに泳いだからである。これらの実験は,神経の協調作用に関するチャールス・シェリントン卿の研究を先取りしたものだった2)。
Copyright © 2008, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.