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はじめに
従来,脳動脈瘤はくも膜下出血(SAH)をきたして発見されるものであったが,近年magnetic resonance angiography(MRA)やcomputed tomographic angiography(CTA)などの非侵襲的な脳血管診断方法が発展し,破裂する以前に脳動脈瘤が数多く発見されるようになった。特にこの10年間は脳疾患のスクリーニング(人間ドックや脳ドック)を行い,このような無症候性疾患を発見し,未然に重篤な症候をきたすことを予防するという治療が行われてきた。報告によると,積極的に発見の努力をすると検査対象の4~6%に未破裂脳動脈瘤が発見されるという報告もある1)。このような未破裂脳動脈瘤が発見された場合には,その対処法を検討する必要がある。しかし未破裂脳動脈瘤は均一な病態を表しているわけではなく,成因,部位,形,大きさ,症状の有無などさまざまな特徴を持っており,これらの因子は将来の破裂の可能性や治療の難しさに深く関わっている2,3)。したがって,未破裂脳動脈瘤の臨床的意義は個々の症例によって差があることを認識しなければならない。治療適応は基本的には個々の瘤の自然歴予測と治療成績予測,また患者の身体・精神状況により決定される。
未破裂脳動脈瘤の発生・自然歴・治療成績等に関して,これまでに多くの単施設・多施設共同研究や疫学・データベース研究等が行われている。治療成績は各施設の熟練度や紹介患者の質などにより一般化は難しいが,自然歴に関しては日本においては日本脳神経外科学会が推進する日本未破裂脳動脈瘤悉皆調査4)(UCAS Japan:本調査の詳細はhttp://ucas-j.umin.ac.jp/を参照)や国立病院を中心とした小型脳動脈瘤の経過観察研究(SUAVe)5),また未破裂脳動脈瘤患者の生活の質や詳細なデータを収集するUCAS IIなどの前向き調査が推進されている。また,2003年には国際未破裂脳動脈瘤の前向き調査データが報告されている6)。本稿では,これまでに報告された未破裂脳動脈瘤の自然歴に関する情報をまとめる。
Abstract
The natural course of unruptured cerebral aneurysms has not been well determined. Recent prospective and retrospective studies have shown that natural history is independently influenced by aneurysm size,location,and other factors. In this paper,the author reviewed literature on this issue and summarized the risk factors. It should be noticed that there is not enough data to demonstrate the natural course according to various characteristics of aneurysms with narrow confidence intervals. Outcome of large scale of prospective data should be carefully analyzed and combined together to establish reliable guideline for management of unruptured cerebral aneurysms.
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