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米国にはAssociation of Neurological Surgeons (AANS)とCongress of Neurological Surgeons (CNS)の2つの学会があり,これは日本と同様である。毎年,AANSのannual meetingは4月,CNSのそれは10月頃に開かれる。1931年にthe Harvey Cushing Societyとして発足してから75周年を迎えた今回のAANS annual meetingはAANS' DIAMOND JUBILEEとしてホワイトハウスにほど近いWashington Convention Centerで開催された。正会員2,961人,レジデントや国際会員などを含めると7,237人の会員数を有する(2007年8月現在)。
本学会は日本の脳神経外科学会と同様に学術的な発展を目的としているが,それに加え診療費請求方法(coding)についてのセミナーなど脳神経外科医の経済活動も積極的に支援していることは特徴の1つである。Annual meetingではさらにnurses,nurse practitioners,physician assistantsを対象にしたセミナーも開かれる。日本の学会で医師以外の医療従事者向けのプログラムが組まれていることは少ないであろうが,AANSでは脳神経外科専門の看護スタッフへの教育を行っている。今回の学会では看護師ランチョンセミナー“New Trends in the Management of Patients with Shunts”が開かれていた。看護師の質の向上は医療レベル向上のために必要なファクターであろう。また,レジデント・フェローへの教育も考えられており,“Neurosurgical Top Gun Competition”と題して参加者を競い合わせるというものである。今回は展示会場のブースでtremor analysis, computer-simulated ventriculostomy, pedicle screw placementというコンピュータ・シミュレーションでの正確性を競う課題として与えられ,ベストスコアを取ったものにNeurosurgical Top Gun honorとして賞金が与えられる。若い人に「やる気」を起こさせるために多角的な方法を考え出すという,学ぶべき米国のよいところである。
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