書評
「神経内視鏡手術アトラス」―石原 正一郎,上川 秀士,三木 保●編集
冨永 悌二
1
1東北大学大学院・神経外科学分野
pp.478
発行日 2007年5月1日
Published Date 2007/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416100075
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
このたび,石原正一郎先生,上川秀士先生,三木 保先生らが編集した「神経内視鏡手術アトラス 第1版」が発売された。神経内視鏡は,歴史は古いものの脳神経外科領域における診断・治療技術としては片隅に追いやられていた感がある。しかし新たな内視鏡機器の開発や技術の洗練によって成熟し,今やある種の閉塞性水頭症では治療の第一選択肢となるほど重要なmodalityとなりつつある。本書はこのような流れの中にあって誠に時宜を得た企画であり,神経内視鏡を志す脳神経外科医,第一線で神経内視鏡治療に携わっている脳神経外科医のみならず,一般の脳神経外科医にとっても大変有用な著書である。
第一章「歴史と基礎知識」では神経内視鏡の歴史がわかりやすく紹介されるとともに,従来の著書では軽視されがちであったdeviceとしての神経内視鏡に関する解説がなされている。軟性鏡と硬性鏡それぞれの特色や利点にとどまらず,最近登場した脳室内ビデオスコープについても従来の軟性鏡との違いについて解説している。さらに現在の神経内視鏡手技において最も問題となる止血操作の際に用いられる凝固因子についても,各製品の作用原理,生体への影響について,わかりやすく述べている。
Copyright © 2007, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.