書評
『神経内視鏡手術アトラス』―石原正一郎・上川秀士・三木 保:編集
冨永 悌二
1
1東北大学大学院神経外科学分野
pp.385
発行日 2007年4月10日
Published Date 2007/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436100560
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このたび,石原正一郎先生,上川秀士先生,三木 保先生らが編集した「神経内視鏡手術アトラス 第1版」が発売された.神経内視鏡は,歴史は古いものの脳神経外科領域における診断・治療技術としては片隅に追いやられていた感がある.しかし新たな内視鏡機器の開発や技術の洗練によって成熟し,今やある種の閉塞性水頭症では治療の第一選択しとなる程重要なmodalityとなりつつある.本書はこのような流れの中にあって誠に時便を得た企画であり,神経内視鏡を志す脳神経外科医,第一線で神経内視鏡治療に携わっている脳神経外科医のみならず一般の脳神経外科医にとっても大変有用な著書である.
第一章「歴史と基礎知識」では神経内視鏡の歴史がわかりやすく紹介されるとともに,従来の著書では軽視されがちであったdeviceとしての神経内視鏡に関する解説がなされている.軟性鏡と硬性鏡それぞれの特色や利点にととまらず,最近登場した脳室内ビデオスコープについても従来の軟性鏡との違いについて解説している.さらに現在の神経内視鏡手技において最も問題となる止血操作の際に用いられる凝固因子についても各製品の作用原理,生体への影響についてもわかりやすく述べている.
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