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特集 糖尿病合併症のこころのケア
Ⅱ
糖尿病透析患者のこころのケア
Psychological care for diabetic dialysis patients
堀川 直史
1
1埼玉医科大学総合医療センターメンタルクリニック
キーワード:
①糖尿病
,
②血液透析
,
③抑うつ
,
④不安
,
⑤心理的ケア
,
⑥支持的精神療法
,
⑦エンパワーメント・アプローチ
,
⑧ リエゾン精神医学
Keyword:
①糖尿病
,
②血液透析
,
③抑うつ
,
④不安
,
⑤心理的ケア
,
⑥支持的精神療法
,
⑦エンパワーメント・アプローチ
,
⑧ リエゾン精神医学
pp.127-130
発行日 2012年3月15日
Published Date 2012/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415101306
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はじめに―糖尿病透析患者の増加 糖尿病透析患者は次第に増加している.日本透析医学会の調査1)によると,2009年1年間の透析導入患者(37,117人)における腎不全の原因疾患は糖尿病性腎症が最も多く,全体の44.5%(16,414人)であり,2位の慢性糸球体腎炎(22.0%,8,108人)の約2倍に達する.透析を受けている患者全体についても,2009年末の時点で,慢性糸球体腎炎の患者が最も多いが(37.6%),これに続く糖尿病性腎症の頻度(35.1%)もほとんど変わらず,しかもこの差は年々小さくなり,まもなく逆転すると予測されている.
このような糖尿病透析患者の増加に伴って,透析医療者の糖尿病透析患者に対する感じ方,考え方もこれまでとは異なってきているように思われる.10年ほど前までは,透析医療者から,糖尿病透析患者の中には心理的に不安定な人や,セルフケアを十分に行うことができない人が多いなどという意見を聞く機会が多かった.しかし,近年はこのようなことが少なくなり,透析患者の中に大勢の糖尿病透析患者が含まれていることは当然のこととされ,心理的な症状やその治療とケアについても,こうした透析患者全体について論じられる場合が多い.筆者もこれに賛成である.糖尿病透析患者とそのほかの透析患者の心理,精神症状などを比較した研究は少なく,明確な所見は得られていないが,例えば治療アドヒアランスについて両者の間に特別な差異はないことなどが指摘されている2).
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