Japanese
English
特集 糖尿病の病態を「見える化」してみる―どこまでわかりやすくできるか―
糖尿病の治療を「見える化」する
Visualization of treatment of diabetes mellitus
坂根 直樹
1
1京都医療センター臨床研究センター予防医学研究室
キーワード:
①糖尿病
,
②インスリン治療
,
③SMBG
,
④見える化
Keyword:
①糖尿病
,
②インスリン治療
,
③SMBG
,
④見える化
pp.55-62
発行日 2010年1月15日
Published Date 2010/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415101018
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
糖尿病治療を駅に例えると?
糖尿病治療を駅に例えることで「見える化」する.糖尿病を駅に例えると,正常駅,予備軍駅,糖尿病駅,合併症駅になる(Box 1).複雑な概念図ではなく,単純なイラストで糖尿病の状態について説明することで患者の理解は深まる.「今,どの駅にいると思いますか?」と尋ね,患者の知識を確認する.まずは,糖尿病の状態(駅)により治療がそれぞれ異なることを説明する.例えば,腎機能が低下してきたら,腎臓を守るためタンパク質の摂取の制限や運動制限が必要となる.透析に入ると,適度に身体を動かすことがQOLを高める.糖尿病の治療はひとつしかないと思い込むと,新しい治療法への変換が難しいものとなる.
次に,2型糖尿病治療の経過を図にして見せることで,薬の種類が増えることやインスリン治療が始まるのは,糖尿病自体が悪くなったのではなく,膵臓のβ細胞機能〈HOMA-β(Tips 1)〉が低下してきたためであることを理解してもらう(Box 2).事前に説明しておくことで,「頑張っているのになぜインスリン治療が必要となるか」という患者の理解を助ける.糖尿病治療のフローチャートを示して,患者とともに治療方針を決めていくのもよい.「治療効果」「低血糖が不安」「肥満予防」などが治療方針決定のキーワードとなりやすい.例えば,これにはADA/EASDのフローチャートが参考となる.自分なりの治療方針を「見える化」しておくのも一案である.そうすることで,患者が治療に参画できる.患者とともに現時点における最良の治療を選択することが糖尿病治療にとって重要である.
Copyright © 2010, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.